夢幻双子
「……れろ」
「は?」
「忘れろ!姉様は私などに全く似ておらぬ!」
「姉様?なんだお前…ならば真星は現実?」
訳の分からぬ怒りの儘に真赫は叫んだ
「そうだ。私は真赫。真星は私の姉。私とは似ても似つかぬ美しい方。そして姉様は巫女だ。お前のようなならず者も姉様には似合わない。」
「真赫‥俺の名は葛木。真星と夢で会い、再会を約束をした男だ。」
何故にこの様に感情的にるのかわからなかった。
が、知らないところで真星と出会い、我が物顔で真星と呼ぶこの男が許せなかった。
今の真赫はさながら姉を此から真星を守ろうとする小さな番犬のようであった。
「去ね!姉様は当分帰られない。姉様が帰ってこられる前に姿を消せ。目を覚ましたのなら今すぐに」
「……何に怯えている」
全てを射突くような冷たい目。
まるで動物のようなそれに、真赫はたじろいだ。
「…怯えてなどない。気がついたのならさっさと出ていけ。お前のような傭兵はこのような村には用はないだろう。村の者たちも不安がる」