夢幻双子
その時2人が居た部屋の襖がスッと開いた。
「真赫‥どうした?珍しい。」
婆様に声をかけられ真嚇は少し冷静さを取り戻した。
「ばあ様…」
「おお、傷を負った客人は目を覚ましたか?」
「はい…」
「どれ、傷を。」
ばあ様はためらいも無く布団をめくり着物をはだく。
「っ!おいっ、触るな!」
「散々手当てしてやったというのに、何じゃその言いぐさは。全く、真赫が怒鳴るのも解る。」
ばあ様の言葉に真赫は小さく縮こまった。
「おい、名は?」
「は?」
「お前の名じゃよ。」
「葛木」
葛木はぶっきらぼうに答える。
「ほぉ、お前のような奴にもなはあるのか」
そういいながら傷の具合を看ていく。
「名を挙げるには名が必要だ。」
「はっ、生意気を言うな小わっぱが。」
そう言いながら傷口を抉るように薬を塗った。
「痛っつ…、何しやがる。俺は小わっぱじゃねえよ、婆がっ」