夢幻双子



◆◇葛木◇◆




この村に着て早一週間が過ぎようとしている。



怪我は着々と回復していたが、未だ待ち人が戻ってくる気配はなかった



真星…あの高飛車で美しい娘は幻ではなかったのだ。



この村には彼女の妹という娘がいた



真赫



はじめは自分はあれを真星と間違えたのだという、今では似ても似つかないと感じるその女



俺に対して、とてつもない警戒心と嫌悪を露わにする



傭兵という仕事をしているので見た目を恐れられるということには慣れていた



むしろ恐れられる位が丁度いい



しかし、そういう警戒の仕方ではない。



何かを探って欲しくないと
これ以上、中に入ってくるなと



そういう…自分たちの世界を護ろうとする警戒心



何に怯えている?



そう問えば俺という人間に興味の欠片さえ無い風を装っていたあれは勢いよく牙を剥いた



完全なる威嚇
傭兵である自分からすれば、小さな猫か狐に牙を向けられているようにしか感じないが



…面白い




< 34 / 39 >

この作品をシェア

pagetop