夢幻双子
【帰還】
「真星様!ばあ様っ、どうでしたか。」
村に帰ると、男の一人が真星に一礼した後、声をかけた。
「今年はよさそうだ。真星が視たんだ。間違いない。」
「そうでしたか、それはよかった。」
ここらでは巫女が未来(さき)を読み、自然の神と共に暮らす。
そういう暮らしをしてきた村だった。
そして真星はこの村で巫女の役割をしていた。
真星は不思議な力を持っており、御方様と呼ばれる巫女の長からも一目おかれる存在となっていた。
そして、元は巫女であった老婆は村の長のような役割をしている。
「姉様、お帰りなさい。」
「ただいま、真赫(まそほ)。」
真星には双子の片割れである真赫という妹がいた。
肌が白く、翠黒と唄われる美しい黒髪を持ち、美しい顔を覗かせる姉の真星。
彼女とは違い、肌は青白く、黒髪を前に垂らし、うつむいて顔を隠しているため、妹の真赫は薄気味悪い印象を与えた。