夢幻双子
皆の前では無理をして笑っていた真星の顔は、今や真っ青で強がっていても体調が優れないことは非を見るより明らかだった。
「あとはわしがやっておく。
真赫、真星を寝室まで連れていっておあげ。」
真赫は小さく頷くと、まだぐずぐずしている真星を促し二人寄り添いながら歩いて行った。
「やれやれ。」
「ばあ様、儀式の準備が整いました。」
ばあ様、と声をかけたのは顔の半分が髭に覆われた熊のような大男であった。
「おお、伊吹(いぶき)。今行くよ。」
「真星様は‥」
伊吹は心配そうに大きな体を折り曲げてばあ様の顔をのぞき込む。
「体調が悪いようだったからね、休ませたよ。儀式は我々だけでやろう。」
「なっ、なんと。大丈夫でしょうか。私が行って看てー」
「大丈夫じゃよ。真赫がついておる。」
「真赫が‥そうですか。」
伊吹は複雑そうな面もちであった。