夢幻双子
【真星】
ひたひたという自分たちの足音が聞こえる。
滝に打たれたときの水と、冷や汗の混じった水滴が着物からたれていった。
自分の部屋はこんなにも遠いところだったろうか。
やはりお婆様に代わっていただいて正解だったようだ。
これでは祈祷の途中で倒れていただろう。
隣で体を支えてくれている真赫は何もいわない。
自分の着物が濡れるのも気にする様子もない。
「真赫、ごめんね。」
「えっ?」
真赫は何故謝られるのかわからないといった風だった。
「濡れちゃって冷たいでしょう?それに儀式も見に行けなかったし。」
「そんなことは…。
姉様の方が滝に打たれたりしていらしたし、冷えきっているし…。
それに儀式なんてもう小さな子供ではないのですから。
見れなくて惜しいものでもないです。」
こんなようにいつも慰められる。