そして天使は闇へ堕ちる
匂いと理性と白い羽根


リュリュカはゼロによって彼の部屋に連れてこられていた


有無を言わずにソファーに座らされ、何故かゼロはリュリュカの膝に頭を乗せていた


「しばらく寝る。誰か来ても追い出せ」と言い残すと、ゼロは規則正しい寝息を立てて眠ってしまったのだ


もしかして……


これが対価、なのかしら?


対価を支払ってもらうと言ったあとに連れられ、そして膝枕しているのだからきっとこれが対価なのね


一人で納得するとリュリュカは身につけていたベールを取ってソファーの背もたれにかける


そして魔王の寝顔をこっそりと盗み見る


「本当に綺麗な顔」


頬に触れ、それからゼロの闇色の髪に触れてみる






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