そして天使は闇へ堕ちる


「匂いに理性をなくしたか」


聞き慣れた声がリュリュカの耳に届く


そっと上を向くと、そこにはゼロがいた


「魔王!」


「こいつは俺の所有物だ。手を出したことを後悔するがいい」


「陛下!?お、お許しください!陛下の物とは知らなかったのです!」


「簡単に理性が飛ぶような弱い兵に用はない」


ゼロは片手を前に出すと、男の身体を燃やしていく


「陛下ぁ!お、おゆる……し……を!」


燃える身体をじたばたと動かして許しをこう


「止めて魔王!ダメよ!」


「悪いがこれだけはお前の願いでも聞いてはやらん」


燃える兵士をよそに、ゼロはリュリュカを抱き上げると、静かに城の中へと戻っていく


「魔王待って!」




< 127 / 264 >

この作品をシェア

pagetop