そして天使は闇へ堕ちる
「匂いに理性をなくしたか」
聞き慣れた声がリュリュカの耳に届く
そっと上を向くと、そこにはゼロがいた
「魔王!」
「こいつは俺の所有物だ。手を出したことを後悔するがいい」
「陛下!?お、お許しください!陛下の物とは知らなかったのです!」
「簡単に理性が飛ぶような弱い兵に用はない」
ゼロは片手を前に出すと、男の身体を燃やしていく
「陛下ぁ!お、おゆる……し……を!」
燃える身体をじたばたと動かして許しをこう
「止めて魔王!ダメよ!」
「悪いがこれだけはお前の願いでも聞いてはやらん」
燃える兵士をよそに、ゼロはリュリュカを抱き上げると、静かに城の中へと戻っていく
「魔王待って!」