そして天使は闇へ堕ちる
リュリュカはシェゾが出て行ったのを確認すると、椅子に座り直してため息をこぼした
「リュリュカ、今話してたことは本当なの?」
遠慮がちにヴァイオレットは尋ねる
途中から完全に存在を忘れてしまってたリュリュカだった
どうしようかと、困ったような笑みを浮かべる
「ごめんね。それは言えないの。誰にも、言えないの」
「リュリュカ……」
そうリュリュカが言えばヴァイオレットはどこか寂しげな顔つきになってしまった
ごめんね、ヴァイオレット
でもこれは誰だろうと話しちゃいけない
神が天使を育てることは本来なら許されない
だから絶対秘密
「こんな話は止めよう。せっかくの紅茶が美味しくなくなっちゃうよ」
「うん。でも、ねぇリュリュカ」
「ん?」
「いつかは話してね」
ヴァイオレットはリュリュカの手を両手で握ると、真っ直ぐ目を見て話した
「……」
しかしリュリュカは何も云うことができなかった
ヴァイオレットなら話してもいいと思ったリュリュカ
けど誰にも話さないと神に誓ったのだ
これ以上神との約束を破ることは、リュリュカには出来なかった