そして天使は闇へ堕ちる
「夫を目の前に他の男の名を云うなんてな」
「私はあなたの妻じゃありません……」
「まだ言うか。そろそろ諦めたらどうだ」
「そっちこそ私を諦めて別の女性を新しく妻に迎えたらいいのに。そしたらこんな可愛くない女より、従順で可愛い奥さんを持てるじゃない」
リュリュカはそう言うと、胸が針に刺されたみたいにチクチクと痛んだ
なぜ痛むのかわからず、ぐるぐると胸の中で悩み続ける
すると、小馬鹿にしたようにゼロは鼻で笑った
「……バカか?従順な女など面白みに欠ける。俺はどっかの女のような反抗的で、可愛い気のない女の方がいい」
ゼロは紅茶を口に含み、リュリュカを見る
咄嗟に俯くリュリュカ
俯きながら今のゼロの発言をうれしく思う
あのチクチクとした痛みも引いていく