そして天使は闇へ堕ちる
「魔王陛下たるもの、公務を投げやりにしていいのか?」
「視察にでる意味がわからないがな」
「視察をして町の様子を知るんだろ?国を治める者としての義務だ」
「好きでなったわけじゃない……!」
ゼロは吐き捨てるように言うと、ゾノの横を通り過ぎて、音を立てて出て行ってしまった
「まったく。……すまなかったな」
「いえ……」
話について行けなかったリュリュカは、何が起こったのか理解できなかった
「なんで魔王はあんなに怒ってたんですか?」
リュリュカが尋ねると、ゾノは言いにくそうにこう言った
「俺からの口じゃ言えない。まぁ、昔ちょっとな、色々あったんだ」
「言えない事なんですか?」
「本人から聞いた方がいい。じゃ、俺は行くよ。陛下の事頼んだ」
一度頭を下げ、背を向けてゾノも出て行った