そして天使は闇へ堕ちる
魔王が私を助けた?
顔を上げてゼロを見る
するとゼロもリュリュカの方を見て、肩から手を離してから耳元に口を寄せる
「泣いているのなら涙を拭いておけ。あとで後悔するぞ」
囁かれた言葉に反応し、リュリュカは女たちに背を向けてこっそりと涙を拭う
「おや、陛下。こんな所にいたんですかぁ」
この気まずくなった空気の中で、緊張感のない野太い声が響く
そこには、髭の生えた太った男がいた
そしてその男に続くように、何人もの男たちが立つ
「大臣が俺に何の用だ」
「何をいいますか。今宵は陛下の妃を決めるための婚約パーティーですぞ。それで陛下、決まりましたかな?」
大臣はニヤニヤと笑みを浮かべると、髭を撫でて周りを見渡し始めた