そして天使は闇へ堕ちる
これって私が言っていいのかしら
「どうぞ」
聞こえるか聞こえないかの声で返事をすると、豪快に扉が開かれて栗色の髪のメイドが、紅茶を乗せたワゴンを引いて入っていた
「おはようリュリュカ!」
「ヴァイオレット!どうしてそんな格好を……?」
「えっとね私今、ゾノの家に預かってもらっているの。でも、ただ預かってもらうのはイヤだから、何かできることはない?って聞いたらリュリュカのお世話係になったの」
優しく笑うと、なれた手付きで紅茶をリュリュカの前に出す
「ありがとう。なんかヴァイオレット馴れてるね」
「じつは私、とあるお屋敷でメイドをしてたんだぁ。お嬢様にお願いされて悪魔界と天界の境に行って、それで捕まっちゃったんだけどね」
真顔でヴァイオレットはそう言うと、リュリュカの反対側のソファーに腰掛けて、優しい笑みを見せる