春となりを待つきみへ


大丈夫。


少しだけ、道が明るくなった。


まだまだ暗いし、険しいけど。

それでももう、怖くはないよ。


まっすぐ前を見て、歩いていけるよ。



ときどきは、上を向いて。

広い空を眺めたりする。


ときどきは、下も見て。

石ころが転がってないか、気をつけて進む。


迷うこともあるかもね。

また立ち止まっちゃうことだってあるかもね。


だけどきみがそこから見守っててくれるなら、わたしはきっと、また歩ける。


そして、きみの代わりにわたしの手を引いてくれる人と一緒に、きみと歩いた道の続きを進む。



どこにだって行ける。

誰にだって会える。

なんだってできる。


わたしはわたしの日々を謳いながら、この広すぎる場所で、生きていく。



そして真っ直ぐな道の先の目的地。



きっときみが立っているだろうその場所に着いたら。


手を振って、大きな声で、きみを呼ぼう。


どっちが先に気付くかな。

久しぶりにきみに会えたら、伝えたいことがたくさんあるけど。


とりあえず、そうだね。

ちゃんと歩いて来れたわたしを「すごいなコハル」って、褒めて欲しい。


無理かな、遊び過ぎだって、怒られるかな。

それはそれでいいや。

だってどっちにしろ、たぶんきみは、笑ってる。



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