春となりを待つきみへ

人はひとりじゃ生きられないってよく言うけど、あんなのは幸福な人のただの言い訳に過ぎない。


人はひとりでだって十分に生きていける。

だってほら、見ての通り、わたしはひとりでもこうして生きているんだから。



でもね、やっぱり、人はひとりじゃ生きていけないらしいんだ。


だってほら、わたしは、きみがいないと死んじゃうんだよ。



心臓が止まるわけじゃないよ。

息が出来なくなるわけでもないよ。

頭がおかしくなって急に線路に飛び出してしまうわけでもないよ。


ただね、体の、真ん中へんが。


引き裂いたって決して見えない部分が。



死んでしまうんだよ、きみが、いなければ。
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