秘密な彼氏
「――元カノだと、聞いています。

私と出会う前に、つきあってた人だと」

呟くように、私は彼女の質問に答えた。

完全に負けていないか?

確かに沖津さんは私と比べるのが失礼だって言うくらい美人だけど。

でも、彼女は結婚してるそうだ。

「――元カノ、か…。

隆志の中では、そうなっちゃったのね」

呟くように言った沖津さんに、私は視線を向けた。

そこには、どこか悲しそうな彼女の顔があった。

「じゃ、じゃあ…何で旦那さんの方を選んだんですか!?」

つい声が大きくなってしまったうえに、口調が荒っぽくなってしまった。
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