秘密な彼氏
ちょっと待って!

…でも、結果的にはどっちなんだ?

少なくとも、私じゃないと胸を張って言いたい。

「お、沖津さん、ちょっと…」

私は沖津さんを連れて店を出た。

「隆志にごめんって言っておいて」

店に出た瞬間、彼女が泣きながら言った。

「はっ?」

マヌケな顔をする私に、沖津さんは背中を見せた。

「ちょっと待っ…!」

「お客さん、お勘定!」

追いかけようとした私を呼び止めたのは、黒ぶち眼鏡の男の従業員だった。
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