秘密な彼氏
「彼女は正直ですから」

そう言い返した俺に、
「へえ、そうなの。

私も思ったわよ、正直ないい子ちゃんだって。

娘に欲しいくらい」

からかうように言った真未さんに、
「あげませんよ、絶対に」

俺は言った。

「もちろんよ、あの子は隆志の所有物なんだから」

ずいぶんと持ちあげるじゃないですか。

そう思った俺に、
「幸せよ」

真未さんが言った。

「えっ?」

「旦那との結婚生活」

ニーッと、真未さんは歯を見せて笑った。

白い歯がまぶしいです。

つーか、幸せアピールかよ。

「悪いですが、俺も彼女との同棲生活は幸せです」

「それ、隆志が今までつきあってきた女たちに言ってもいい?」

勘弁してください。
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