秘密な彼氏
その時、乾いた音とドサッと言う大きな音が同時に聞こえた。

その音に驚いて、閉じていた目を開けた。

「テメェ、何、人の女に手ェ出しているんだよ!」

隆志が地面にしりもちをついている中里くんに怒鳴っていた。

…た、隆志?

「あやめは俺の女なんだよ!」

そう言ったのと同時に、躰が彼の方に抱き寄せられた。

腕の中から見あげて、顔を確認する。

ああ、やっぱり隆志だ。

「――えっ、俺の…女?」

服についた砂を払いながら、中里くんが躰を起こした。

頬がうっすらと紅くなっている。
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