秘密な彼氏
呆れたと言うように大きな声で叫んだ美里に視線を向けると、彼女は腕を組んでいた。

「ただの痴話喧嘩だったら、私の存在は意味がなかったじゃん!

じゃあ、もう帰るからね?

あやめ、明日も学校を休んでいいよ」

美里はカバンを肩にかけた後、私たちに背中を見せた。

「じゃ、後は若いお2人で」

手を振りながら美里がリビングを出て行った。

すぐに玄関のドアを開け閉めする音が聞こえた。

若いお2人で…って、おばちゃんかよ。

「あやめー!」

「ぐっ!」

隆志がまた強く抱きしめてきた。

しまった、私は隆志の腕の中にいることを忘れてた…。
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