秘密な彼氏
俺は躰を起こすと、キッチンへと足を向かわせた。

棚からまだ開けていないイチゴジャムのビンを取り出すと、またあやめのところへと戻った。

あやめが手元のジャムに視線を向けている。

あやめの視線を肌で感じながら、俺はまた彼女の前に腰を下ろした。

カチリと、ジャムのビンを開ける。

「――な、何をするの…?」

震えているあやめの声に、俺は笑った。

こうするんだよ。

人差し指と中指で、ジャムをたくさんすくった。

それを、首と鎖骨に塗りつけた。

あやめが俺の突然の行動に戸惑っている。

もちろん、俺は自分の行動をやめようと思わない。
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