秘密な彼氏
「なめて」

そう言って、ジャムがついている指をあやめの前に差し出した。

あやめはためらっている。

当たり前か。

「早く」

わざと急かすように言ってやると、あやめは大人しく俺の前に座った。

あやめの顔が、俺の指に行く。

小さく唇を開けると、舌を出した。

温かい舌が、指についたジャムをなめ始めた。

その舌は、震えていた。

「――んっ…」

丁寧に、舌はジャムがついた指をなめる。

ヤバ過ぎだろ、これは…。

あやめの顔に、ドキッと俺の心臓が鳴った。
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