秘密な彼氏
その音に視線を向けると、隆志がベッドから落ちていた。

「あやめ、今の何なの?」

驚いたと言うように、ママが聞いてきた。

「あっ、えーっと…ベッドから落ちちゃったの」

私は答えた。

「落ちた?

もう、ドジね」

フフフッと笑っているママに、私は苦笑いをすることしかできない。

正確に言うなら、私じゃなくて隆志が落ちたんだけどね。

「それでね、今から日本に行くから」

「――えっ…?」

それ、マジで言っているんですか?

サーッと、血の気がひく音が聞こえた。

でも、今聞いたことは事実以外何もない。
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