結婚式3時間の為の男選び
恵理とさくらは、雑居ビルを出て、
再びネオン街へと向かった。

並んで歩くと、
どうも釣り合わないツーショット。


プライベートなら
絶対に絡まないであろう、
二つの人種に、
すれ違う黒服は、何の違和感もなく、
いつもの調子で、客寄せをしていた。


新地という街だから
受け入れられるこの光景は、
働く人間にとって日常的なのだ。


「私達、派遣は、お客様も大事だけど、
ママに気に入られてなんぼなの。
さりげなくママに気に入られる努力をしつつ、
レギュラーの女の子の邪魔をしないよう、
お客様とお話し、
程々に好かれ、ボトルを落とさせる為に
どんどん飲む.
それが、私達派遣の仕事だから。」



谷口の記した地図の場所を
確認できた恵理は、
ふと、さくらを見た。
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