たとえ馬鹿でも、愚かでも
走ればなんとかなるよね。


このまま放って置けないし。


傘をぐいっと彼に差し出すと、反射的だったのだと思う。


すぐにそれを受け取った。


けれど走りだそうとした次の瞬間、腕を取られた。


「待って、名前は!?」


「灯です。鈴木灯(すずきあかり)」


名前を名乗ると、彼は嬉しそうに笑って掴んでいた腕を離した。
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