たとえ馬鹿でも、愚かでも
「ありがとう、灯ちゃん」


その言葉を聞いて、傘の外に飛び出した。


あんなに喜んでもらえたなら、傘の一本安いものだよね。


なんだか嬉しい気持ちになった。


「またね」


走り去る私を見ながら、彼が不敵に笑っていたことなど知る由もなく。
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