ただ、それだけで

個室は8畳程の和室で、廊下と平行にテーブルが2つくっつけて並べてあり、廊下側の席の手前に女性が1人その隣に男性が2人、向かい側に男性2人が座っていた。

「ユイちゃん?いらっしゃい。遠慮なく入って入って」

黒縁メガネをかけた男性が手招きしてくれた。

「お邪魔します」

そう言いながら部屋に入ると、

「ユイはあっちに座って」


ミズホ先輩は廊下側の一番奥の席に向かいながら指差したのは、反対側の一番奥だった。

「あ、はい」と返事し、手早くコートを脱ぐと奥の席に向かった。


「失礼します」と断り、座布団の上に腰を下ろすと視線が集中してるのを感じ、気恥ずかしく視線をさまよわせた。


「ほら、あんた達、ジロジロ見ない!この子は会社の後輩のユイで、今日は無理やり連れてきたの」


「あの…はじめまして。ミズホ先輩と同じ会社で働いてますユイです」と、なんとか自己紹介をしてぺこりと頭を下げた。

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