ただ、それだけで

2人でメニューを選び、注文を済ませてサエに視線を向けた。

「で?」


私の唐突な振りにサエは頬を染め、恥ずかしそうにはにかんだ。


「あ、あのね…私、彼氏ができたの」


あぁ、そう言うことか。

密かに納得し、嬉しそうなサエに微笑んだ。


「よかったね!で、どんな人なの?」


幸せそうに頬を染めて彼の事を話すサエを見つめながら、自分が彼氏の事を話す時はこんなに幸せそうな顔をした時があったかな、とふと思い返してみた。…が、記憶が欠落していなければ、そんな場面を思い返す事ができない。


サエを羨ましく思いながら、やっぱり親友の幸せは嬉しいもので。


サエがずっと片思いしてた友達のリョウの事は完全に吹っ切れたんだと安心もした。



< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop