ただ、それだけで
「相変わらずの疑問系だね」
リョウに電話するといつも不思議そうに私の名前を呼ぶ。
ふふふ。と笑いながらもどう伝えようかと頭を働かす。
「どうした?」
「あのね…あっ、今大丈夫?」
「あぁ」
「今ね、サエと会って来たんだけど…」
「…うん」
「サエね、彼氏ができたんだって。すごい幸せそうで、羨ましくなっちゃった。のろけまくられたよ」
一気にそう言うと、電話越しにリョウがホッと息を吐いたのを感じた。
「そっか…」
「うん、そうなの」
だから、もう罪悪感抱えなくていいよ。
心の中で呟いた。