森のくまさん/くまside
「あら、くまさん。ありがとう」




女性は素直にイヤリングを受け取ることにしました。




そして、くまさんに感謝して、お礼を言いました。




ここで、女性は考えました。




このまま熊と別れても、またこの熊は別の口実をつけて、ついてくるかもしれない。




何とか熊の注意を他の対象に向けられないだろうか。




そうだ、歌でも歌って、熊の注意をそらしておこう。




「ねえ、くまさん。お礼に歌を歌ってあげましょう」




「本当に?僕、歌が大好きなんだ。ありがとう」




くまさんはとても喜びました。




そして、女性はひとしきり、くまさんのために歌を歌ってあげました。




森の中に、ラララララー、という女性の美しい歌声が響き渡りました。




(おしまい)
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