chocolate*
002 :: 『 JESSiCA 』

01 * 洋服を買いに

  






     精一杯の努力。


     無駄な抵抗とは
     分かっていても、
     あたしはなるべく
     [ 可愛い ]ファッション
     で、桜ヶ丘まで行く。




    「 もしかしてそれって、
      姉ちゃんなりの
      無駄な努力の結晶? 」

    「 っるさい!
      悠樹は黙ってなさいっ 」




     このうるさい弟、
     悠樹にそう言われ、
     あたしは叱りながら、
     お気に入りのバッグに、
     財布や携帯、ICカードを
     入れて、あたしは帽子を
     かぶる。




    「 姉ちゃんって物持ち
      いいんだな 」




     あたしが部屋にある
     全身を見るのに
     丁度いい、大きな鏡を
     きょろきょろ見ていると、
     悠樹は欠伸をしながら
     そう呟く。


     お母さんは買い物に、
     お父さんは知人との
     お出かけに、
     お姉ちゃんは彼氏と
     デートしている
     この家には、


     今、あたしと
     悠樹しかいない。




    「 そうかな?
      悠樹だって、その
      ズボン、小6の頃から
      履いてんじゃん 」

    「 まあな 」

    「 あたしが言ってるのは、
      それほど身長伸びてないね、
      ってことなんだけどね(笑) 」

    「 ……!!
      大丈夫だ、俺は姉ちゃんと
      違って、これからぐんぐん
      背が伸びてくんだからな! 」

    「 ならいいけどねー♪ 」






  
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