chocolate*
あたしは、にこにこ
微笑みながら
頷き、試着室で
洋服を着替える。
「 なんですか、
彼氏とデートですか? 」
何の貶しに
そう訊く黒瀬さん。
その言葉が、
あたしの胸に
突き刺さる。
「 …あ、いや、
彼氏いないんで…(笑) 」
「 すみません、
なんか… 」
あたしが答えると、
黒瀬さんは謝る。
「 黒瀬さんは、彼女
とかいるんですか? 」
「 今はいない…かな 」
そういう黒瀬さんの顔は、
どこか哀しげで。
それ以上訊くのは、
もうやめた。