chocolate*
とある朝のことだった。
「 あっ、あゆみちゃん! 」
クラスメイトであり
友達の、木下愛未が
あたしの元に走ってくる。
「 何? 」
「 どう、可愛くない? 」
そう言うと、
愛未は雑誌の58ページ
を開いて、あるモデル、
[ 安藤カレン ]という人を
指差して笑う。
「 …ごめん、そういうの
わかんないや。
…用がないなら
あたしは行くね 」
これは本当のこと。
本当に、あたしは
ファッションに
興味がなかった。
そのあと、愛未が
待って、と言う。
「 …今度は何?
あたしはそういうの
わかんないって…――! 」
あたしが振り向くと、
すぐ近くに、
あたしより背の高い
愛未の顔があった。