いつか想いが届くまで
「みか、」
「ん?」
たくやに小声で呼ばれ向き直るとみゆちゃんからは見えないように手紙を私に渡そうとしている。
私はなんとなくみゆちゃんに見られてはいけないものなんだと悟り、コソコソとたくやからの手紙を受け取った。
ノートの切れ端かなんかに急いで書いたようなメモだったがそれは確かにメールアドレスだ。
私はそれをまた小さく折ってポケットに入れる。
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴ると何故か急に廊下へ走っていってしまったみゆちゃん。
「たくや」
「何?」
「なんでさっきみゆちゃんに隠れて手紙渡したの?」
「あぁ……あれは笠原にアドレス知られたくないから」
「え?どうして?」
たくやは頭を掻きながら私に言う。
アドレスなんかすぐ渡っちゃうと思うけど…
「俺あいつ嫌い」
「いいじゃん仲良さそうだし」
たくやは私に仲良さそうと言われるとあからさまに嫌な顔をした。
そんなにみゆちゃんのこと嫌いなのかな?
「まぁ、いいや…
あ、校内案内しようか?」
「いいの?
じゃあお願いするね」
これが私の歯車を狂わせた出逢い。
今思えばこの出逢いは私を苦しめることしかしなかった。
だけど、あなたに会えたこと、後悔はしてない。