10/16 PM12:30
それから…
一人の男は、学生寮で目覚まし時計を止めた。と、同時に目を見開いた。
「う…そだろ…?」
遅刻である。
大学への道のりを全力疾走していた。そして門をくぐり、講義の始まりと同時に部屋へと入った。
当然、笑い者だった。
同じ講義を受けていた友達は、はぁ…とため息をついた。
男は赤面して、丁度今ため息をついた友達の隣に座った。
「なにやってるんだよ!!」
「いや…寝坊して…。」
その言葉に友達はまたため息をついた。
男は手帳を開いた。
「10月16日…か…。」
それだけ言うと、少し頭がハゲかかっている50代のベテラン教授の話に耳を傾けた。
…じっと…アイツが見ていることも知らずに。
*
「お前バカじゃないん!?」
友達にお昼を食べながら叱られる。
「…いや〜、懐かしい夢見ちゃってさ〜…。」
それで、チェンメを作って友達に回したことを話した。
「お前、しょうもねぇーな!!バカか!!」
友達は呆れていた。
そんな天気のいい10月16日。
男の声は静かなそいつにも聞こえていた。
「…ミーツケタ。」