大切な君へ
今日は、部活が、結構長引いてしまった。
唯、大丈夫かな?
新しい環境についていけなくて、体調を崩すことがあるから…
「零、帰ろっか」
「おぅ」
こいつは、中学の時からいっしょにいる礼央。
こいつは、俺とは、正反対の性格をしている。
あいつは、明るくて、人なっこい。
そんなところが、モテるんだろうけど。
家が近いから、いっしょに帰ることにした。
「なぁ、あれ唯ちゃんじゃね」
「はぁっ?」
なんでこんな時間に、あいつがこんなところにいるんだよ…?
しかも、少しふらついてるし…
絶対に体調悪いだろ。
また、我慢しているんだ。
本当にこりないやつだな…
急いで、俺は唯のもとに行った。
「唯」
「…零くん?」
「あぁ、なんでこんな時間に帰っているんだ?」
「部活…」
はぁっ…
部活入っちゃったか…
吹奏楽部だろうけど…
また、心配事がひとつ増えちまうじゃねぇか…
「身体、しんどいんだろ?」
「…‼
そんなことないもん…」
ばれちゃったみたいな顔をして、そんなこと言えるかよ。
「とりあえず帰るぞ」
「…うん」
唯は、隣にいた女に、手を振ていた。
っていうか、いたんだ。
なんでこいつは、気づかなかったんだ?
こんなにも、体調が悪そうなのに。
でも、いまは早く帰ってこいつを寝かせないと。