幻想館-眠り姫編-
-眠り姫編-

冥々

「んっ・・・・・・」

目覚めた私の前には真っ暗な闇が広がっていた。

「・・・・・此処、どこ?」

私の心を写したような闇。

恐怖を感じるあの瞬間に、終わったはずなのに

そう、何もかも・・・・


それでも私は、立ち止まる事はしない。


自分でもびっくりするほど、冷静さを取り戻している。


そう、此処へはきっと自分の意志で来たに違いない・・・・

そんなふうに思った

どこだかわからない場所へ・・・



しばらく進んでいると、この闇にも目が慣れてきた。



やがて、暗闇の中にポツンと一軒立っているのが見えた。



私は少しホッとした

死んでいても、灯りが恋しくなるのね・・・・




「・・・幻想館?」


面白い名前


そして、どこか不思議な響き。



私は、ドアを開けた。



中は薄暗い。


ランタンの灯が、静かに揺れていた。



その灯りに導かれるように奥へ進んで行くと、人影がボーっと浮かんでくる。


「誰?」


すると、その影が次第にはっきりと見えてきた。


「あっ・・・・・・!」


見事な長い銀髪・・・・

思わず言葉を呑み込んでしまった。


「ようこそ、幻想館へ」


「あの、黙って入って来てゴメンナサイ」


綺麗な青い瞳に吸い込まれそうだった。
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