幻想館-眠り姫編-
お姫様の行動範囲は制限されたが、それでも西の塔に行ってみたいという思いは変わらなかった。



西の塔・・・・・・。


どうもひっかかる。



西・・・塔・・・・・・・・・


閉ざされた場所・・・


誰も近づかない置き去りにされた部屋。



・・・・・・そういえば、私が最後にいた場所は・・・・・・西校舎の一番外れの教室。



それは偶然?


何故、西校舎だったのか・・・・・・。



私が選んだ場所じゃないけど・・・・・・。



静かな所で話したいからって・・・。



大切な親友の彼女が言った。



私もきちんと話したかった。



・・・誤解を解く為に。


でも、誤解が解けたのかは、今となっては分からない。



彼女はちょっと勘違いしただけ。



だから、許してあげるの。



そう思うと、私はとても優越感に浸る事が出来た。



すると、館長さんが立ち上がり新しい紅茶を注いでくれた。



「ありがとう・・・」



「いえ・・・」


そう言ったきり、館長さんの冷たい無表情さが、怖かった。



私、いけない事を言ってしまったのかしら・・・・・・?




淡々と物語は進行していった。



沈黙。



それは初めて感じた本当の孤独。



そして・・・・・・


お姫様はこっそり


西の塔へ・・・・・・。


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