幻想館-眠り姫編-
お姫様は胸がドキドキしてきました。



「お姫様、申し訳ないのですが、お花の籠を忘れてしまったので先に行って下さい
あとから追いつきますから」


そう言われて、お姫様は先に一人で向かいました。


城の裏口のドアは鍵が開いていました。


一旦、表へ出ると、澄み渡った空気を深く吸い込みました。


「やっぱり外は気持ちがいいのね。
木々やお花の香りがいっぱいだわ」



お姫様はそばに寄ってきた小鳥たちと遊び始めました。


無邪気に小鳥たちと戯れていましたが、一向に娘は来ませんでした。



<あなたは、どこまでお人好しなの?>



どこからか声が聞こえてきました。




「誰・・・? 誰かいるの・・・・・・?」



お姫様は辺りを見回しますが、人影は見当たりません。




<さあ、塔のてっぺんまで登っておいで>




また別の声が聞こえてきます。



塔の扉の鍵も外れていました。



朽ちた木の扉は、ギギッ!と軋む音をたて開きました。



中へ入るとランプが置いてあります。



確か塔の中は、真っ暗だと聞いていました。




・・・変だわ?




そう思いつつも、ランプの灯りを頼りに階段を一歩一歩、ゆっくり登ったのです
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