幻想館-眠り姫編-
それから、如月さんと一緒に病室に入った。

さっきとどこも変わりないように思えたが、お姉ちゃんの手が掛け布団の上に出ていた。


白くしなやかな指先は、誰かに握られたような形で置かれていた。


・・・やっぱり誰かいたんだわ・・・



それなら、お姉ちゃんを元に戻して欲しい・・・自殺を図る前の状態に・・・・・・


私が見た銀色の長い髪の人は神様?

それとも死神?


でもあの不思議な男性を包んでいた光は暖かな安らぎを与えていたような気がした。


如月さんが言っていたお姉ちゃんの回復を、今は静かに待つしかなかった。


「さあ、行きましょうか」


如月さんの声は、いつも優しさと言うオブラートに包まれているようだった。



如月さんと銀色の長い髪の男性がだぶって見えたのは、偶然の幻・・・?


でも私はそれを如月さんに伝えなかった

もし、その出来事を話したら魔法が解けていくような気がしたからだ。


それから
如月さんは捜査に戻った。

私はテストがあるので学校に向かった。


退屈な一日の始まり


他の生徒は、まだ危険なものに触れるかのように陰でコソコソとしていた。

仕方がないといえばそれまでだが、世間はあくまでも偏った見方しかしない。


お姉ちゃんが私だったら、どう思ったのかな・・・・・・?


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