幻想館-眠り姫編-
季節の訪れは早く、木々や草花が辺り一面を覆う春が来ました。



お姫様の周りは、常にとりまきがいました。


愛らしい笑顔を振りまいていれば、好感度も良く、いつでも注目の的です。




特に男性からの受けが良かったのは言うまでもありません。


ただ、全ての人々が、お姫様を慕っていたわけではありません


貴族の中には、良からぬ考えを持っている者達がいました。



「あのお姫様のお陰で、新しいドレスが仕立てられないなんて許せないわ!!」


伯爵夫人は、眉をつり上げ口を尖らして言いました。



「王様も何をお考えでしょうね」


伯爵夫人達の怒りは次第に膨れ上がっていました。



「でも、どちらにしましても、あと2年経てば・・・」


「あら、そんなに大きな声をたてますと・・・」


そんな声も時々は、聞こえてくるものです。



当事者だけが知らない事。



社交界にデビューした貴族のお嬢様達もうわべは仲良くお付き合い。


けれど、本当は嫉妬心と不満がいっぱい


「王様の娘でなければ、ただの世間知らずのお嬢様だわ」


どうしてもお姫様の引き立て役になってしまう伯爵家のお嬢様。


・・・この女の子・・・どうしてそこにいるの?



見覚えのある顔。



そう、だって彼女は私の親友だから・・・


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