幻想館-眠り姫編-
「紅茶でも入れ直しましょうか」



私はホッとした。



暗い空間が押し寄せてくるような気がしたから。



「お待たせしました」


しなやかな細い指先

テーブルの上に華やかな模様のティーカップ。



周りがパッと明るくなる。


「心を落ち着けるには、ちょうどいいですよ」



「ありがとう・・・・」


私はちょっとだけ、はにかんだ。



この部屋は何もないけれど、館長さん自慢の紅茶からは、いい香りがした。



また、新しいブレンドかしら・・・?



「いかがですか」



「不思議な感覚になります・・・・」



館長さんはクスッと笑った。


とてもクールな感じの人なのに、こんなに子供っぽく笑うなんて・・・・



ただ・・・・・・・


時々覗かせる冷たい表情は何故・・・・・・?




そして、物語は山場を迎える。


天真爛漫なお姫様。



王様や王女様が止めるのも聞かず
ある日、二人の侍女を連れて森に遊びに行ってしまいます。



森の中は、開放感溢れる憩いの場所。



木々の隙間からこぼれる光


動物たちが戯れ、心和む世界だった。



お姫様はその中で、一羽の珍しい小鳥を見つけた。



見事な金色の羽。


さえずる声は、聞いた事もない歌声。



まるで魔法の鳥のような、そんな感じがしたのです。


小鳥は枝から枝へ飛び移り、お姫様はその後を追いかけていきました。



「待って、小鳥さん!」

尚も追いかけます。




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