バスケより一番に






そして腕を掴まれそうになったその時






後ろで誰かが私を抱き寄せた。








その人は徳井君だった。



「試合会場にまで来てナンパなんかしてんじゃねーよ」



「はっ、誰お前?」


「こいつの仲間ですけど」



「今俺は波奈と話しがある。
だからお前は邪魔なんだよ」



「お前喧嘩売ってんのか?」


こんなとこで喧嘩にでもなったらヤバイよ。



そう思った私は二人を止めた。




「違うの徳井君。
この人は私の元彼なの…」



「あっ……」




はぁ…何とか収まった。



「って、事だから」



春弥は私の腕を掴んで連れて行こうとした。




「やっ…」





だが、またそれを徳井君が止める。





そして



「昔は昔、今は今、今は俺と付き合ってるから」





えっ



「だから諦めて君も早く新しい彼女と付き合いな」




驚きを隠せない春弥。




「それって本当?」



悲しそうな表情でこちらを見る。




「……」




なんでそんな顔するの?
春弥にはもう新しい彼女の一人や二人できてるんでしょ?








「うん」



それだけ言って私は徳井君の腕を強く掴み外へと出て行った。





勿論春弥は追ってこなかった。













< 202 / 224 >

この作品をシェア

pagetop