バスケより一番に
それに今は新しい所に慣れるので精一杯だし、部活だって頑張らなきゃいけないし恋なんてしばらくしないと思う。
そう言ってから三ヶ月後の七月になった。
私が家に居るといきなり留里から電話がかかってきた。
「もしもし?」
「ごめんね!
私ずっと黙ってたの」
いきなり謝ってきた。
「どうしたの?
意味が分からないよ」
「あのね、私波奈が居なくなってから摩乃と小柴君から聞いたんだけど。
でも、波奈に話していいのか分からなくて…」
「落ち着いて、ゆっくりでいいから」
一体何を聞いたんだろう?
その二人の名前が出た途端あの頃の思いでがよみがえる。
胸が急に苦しくなる。
だけど逃げちゃダメだ
受け入れないと
本当に好きなら
「あの日摩乃は小柴君に降られたんだって。」
えっ……
「あのキスは摩乃が小柴君を振り切るたにした事なの。
そしたら波奈がちょうど居たじゃない。
それでパニックになって全然言えなかったんだって」
なのにあの時私が…
「それでなんとしてでも諦められない小柴君は私に何回も波奈の居場所聞いてきてた。
摩乃も小柴君と一緒にいつもいつも私の所に来て謝ったりしては誤解なんだって言って来た。
私今までどうすればいいのか分からなくて、本当に信じていいのか…」
「ありがと、話してくれて」
どうしてあの時ちゃんと話しを聞かなかったんだろう
小柴君の気持ちに気づいてあげれなかったんだろう
突き放して、ひどい事ばっか言って…
結局悪いのは全部私なんだ。
消えるのは私だ
もう小柴君を好きになる資格も思う資格もない。
最低女だ。
「それでね、摩乃からこの前電話がきて今度男子の引退試合なんだって、それに来て欲しいって」
またあの綺麗なシュートフォームが見たい…
試合やってる時の真剣な顔。
勝った時の嬉しそうな顔。
だけど……
「私、もう行けそうにないや。
……ごめんね」
「そっか…
もうこれが小柴君に会える最後のチャンスかもしれないのに。
本当にそれでいいなら波奈の好きにしていいよ。
一応場所とかはメールで教えておくから」
「うん…」