Foolish boyfriend~5年前の約束~
「どこや」
「何でやねん!なんや、その態度の違いは!」
「うっさいなぁ…お前ほんまに邪魔くさいねん。はよ課題せぇや」
「言われんでもするわ! 舞子っ、うちに数学とやらを教えてや!」
やっと課題を始めた杏。でも、今日1日頑張って終わるほど、簡単なものじゃない。
「広田、携帯光ってんで」
「あ、ほんまや。杏、ちょっとゴメン。中村に教えてもらって」
ディスプレイに表示された"達哉"の名前。必ず、1日に1回は電話をかけてきてくれる。
「イヤやっ、こないなやつ!」
そう嘆く杏を無視して、部屋から出る。
「もしもし」
『おはよー、舞子』
「おはよーって、達哉今何時やと思ってるのー? もうお昼過ぎてるんやからね」
『俺はさっき起きたもん。あ、そうそう、俺バイト始めるから』
「え、何で?」
達哉がバイトだなんて、続くんだろうか。
『夏休み中には舞子に会いに行きたいし。大阪って結構遠いから、金かかるしさ』
あたしが大阪に引っ越してからの7ヶ月間、達哉には一度も会っていない。
達哉が住んでいるところから来るには、かなりお金がかかる。それに、電話代もかなりかかってるはず。