Foolish boyfriend~5年前の約束~

「じゃあ、あたしもバイトしよっかな」


『俺が会いに行くから、いいって』


「でもさ、電話とかも毎回達哉だから、お金かかるやろ? なんか申し訳ないっていうか…」


『あ、じゃあさ、俺がそっちに行ったときは、泊めてくんねぇ?』


「うんっ、泊めてあげる!」


『サンキュー。じゃあ、また明日電話する。』


「え?」


いつもなら、もっと長い時間電話するのに、今日は電話し始めて、まだ10分も経ってない。


『ごめん、舞子。俺2時からバイトなんだ』


「あぁ、そっか。じゃあ、頑張ってね」


『おぉ、じゃあな』


「バイバイ」


会えない分、電話を切るのが嫌になる。唯一達哉と話せる時間だから、余計に短く感じるのに。

今日は少ししか話せなかったな。

でも、あたしに会いに来るために頑張ってくれてるんだから、わがままは言えない。


「はぁー…」


でもやっぱり、寂しいかな…

仕方なく部屋に戻ると、何かを必死に写している杏がいた。


「電話終わったん?」


「うん」


どうやら、中村の課題を写してるみたい。

結局、見せちゃう中村はやっぱり優しい。ただめんどくさかっただけかもしれないけど。


「えらい短かったやん。毎回長電話やのに」

中村が雑誌を読みながらそう聞いてきた。


確かに、いつもより遥かに短い時間だったけど、また明日も話せるんだし。
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