Foolish boyfriend~5年前の約束~
「2時からバイトなんだってさ」
「ふーん、そうか。まぁええわ。広田もはよ課題せぇや」
「あぁ、だから分からんとこあるんやって」
そう言うと、雑誌を閉じてしぶしぶ立ち上がってあたしの方に来た。
「やから、どこやねん」
「んーとね、ここ」
夏休みに入る前のこの時期に、何でこんなに頑張らなくちゃならないのか分からない。
「お前、授業聞いてへんやろ。杏ほどやあらへんけど、お前もアホやん」
「聞いてへんけど、何となく分かるもん」
「分かってへんから、今俺が教えてやってんやろ。俺を見習え」
「あたしよりちょっと頭いいだけやろ」
実際の学力の差は、もう口では言い表せないくらいに大きい。
ちょっと、なんて言葉じゃ絶対に足りない。
いや、あたしがバカなんじゃなくて、中村が頭よすぎるだけなんだけどね。
「ちょっとやあらへんやろ。広田と俺じゃ比べものにならへんわ。大体な、」
「舞子ええなぁ。離れとってもラブラブやん。ちゃっかり指輪までしてるし」
中村の言葉を遮って、杏が話始めた。
急だったからビックリしたけど、課題するより、中村に説教されてるより、話してた方が楽。