Foolish boyfriend~5年前の約束~


「まぁね。杏は? 好きな人とかおらへんの?」

達哉との話をするのは何だか照れ臭くて、すぐに話を変えた。


「うち理想高いねん。やから、好きな人とか簡単にできん」


「理想高いって、例えば?」


「んー、うちより背高くて、イケメンで、優しくて、頭よくて、スポーツ万能な爽やかくん」


目をキラキラさせて言う杏に、中村が「あほくさ…」と言いながら雑誌を開いた。

さっきから、全く課題進まない。


「うっさいなぁ。」


「そないなやつおるわけないやろ。理想高すぎや。大体お前、その性格どうにかせぇや」


ベッドに寝転んで、再び雑誌を広げた中村。口悪すぎでしょ。


「中村、言い過ぎ」


「今さら傷付けへんわ、こないなやつ。今まで何べん言うてきた思うてんねん」


そうだった。杏と中村は、幼なじみらしい。保育園の頃から現在まで、ずっと一緒。


一緒にいたくせにお互いに貶しあって、喧嘩ばっかしてるんだから。


「中村、うっさいねんて。ほんまに腹立つわ。うちが理想高いんは昔から知ってたやろ」


「まぁ、確かに昔から面食いやったなー。イケメンに性格ええやつなんか滅多におらへんわ。諦めろ」
< 103 / 128 >

この作品をシェア

pagetop