Foolish boyfriend~5年前の約束~
「まぁね。杏は? 好きな人とかおらへんの?」
達哉との話をするのは何だか照れ臭くて、すぐに話を変えた。
「うち理想高いねん。やから、好きな人とか簡単にできん」
「理想高いって、例えば?」
「んー、うちより背高くて、イケメンで、優しくて、頭よくて、スポーツ万能な爽やかくん」
目をキラキラさせて言う杏に、中村が「あほくさ…」と言いながら雑誌を開いた。
さっきから、全く課題進まない。
「うっさいなぁ。」
「そないなやつおるわけないやろ。理想高すぎや。大体お前、その性格どうにかせぇや」
ベッドに寝転んで、再び雑誌を広げた中村。口悪すぎでしょ。
「中村、言い過ぎ」
「今さら傷付けへんわ、こないなやつ。今まで何べん言うてきた思うてんねん」
そうだった。杏と中村は、幼なじみらしい。保育園の頃から現在まで、ずっと一緒。
一緒にいたくせにお互いに貶しあって、喧嘩ばっかしてるんだから。
「中村、うっさいねんて。ほんまに腹立つわ。うちが理想高いんは昔から知ってたやろ」
「まぁ、確かに昔から面食いやったなー。イケメンに性格ええやつなんか滅多におらへんわ。諦めろ」