Foolish boyfriend~5年前の約束~
「変わった人やねん。喧嘩大好きで、短気やし。でもあたしには優しくて、すごい大事にしてくれてた。雰囲気ね、中村に似てるよ」
そう言うと、中村は少し戸惑った様子を見せたけど、すぐにまた寝転んで雑誌を開いた。
さっきからページ全然進んでないけど。
「なんか想像できひんのやけど。雰囲気が中村で、喧嘩大好きなくせに優しいって…。ほんまに変な人やな」
「なんでやねん。お前それ遠回しに俺のこと変なやつ言うてんちゃうんか?」
やっぱり雑誌なんか読んでないみたい。
広げてるだけ?
だったら、あたしに勉強を教えてくれればいいのに。
「おん、そうやけど。分かってたんや」
「お前ほんまにめっさ腹立つ。ここ誰ん家や思てんねん」
よく分かんないけど、また喧嘩が始まったみたいだ。こんなの続けてたら、キリがない。杏の課題なんて、いつまで経っても終わらないでしょ。
「何言うてんの。ここは中村の家やん」
「追い出したろか?」
「もう、2人ともうるさいなぁ。杏、はよ課題せんと終わらんよ。中村、意外と短気やね」
きっと夏休みもこんな状況が続くのだろうけど、まぁ、楽しいからいいや。
「舞子、夏休みに彼氏が会いに来たら、会わせてな。うち見てみたい」
「うん、ええよ」
そう約束して、2人で黙って課題を始めた。