Foolish boyfriend~5年前の約束~
「もっと早くに来るつもりだったんだけど、金ないから。見た目が見た目だし、バイトの面接も受かんなくてさ」
確かに、茶髪の高校生なんて、いい印象は受けないだろうし。
見た目は完璧な不良だし。
きっと、今のバイトもやっと見つけたんだろうな。
「だから、あたしもバイトするよ。そしたらあたしからも会いに行けるやん」
「ダメ。それはダメ。俺の心配事が増えるだろー」
やっぱり、バイトはダメらしい。
でも、どうして達哉の心配事が増えるんだろう。
「あたしもお金欲しいもん」
「………ダメ」
「舞子!」
達哉がうつむいてダメだと言ったとき、聞き覚えのある大きな声が響いた。
この声は…
「やっぱり、舞子やん。」
あぁ、今会っちゃったか。
「こないなとこで何してんの?」
そう言って駆け寄ってくるのは、満面の笑みの杏で。後ろには呆れ顔の中村もいる。
「舞子、誰?」
当然、達哉は杏や中村のことを知らないから、2人のことをジッと見ている。
杏と中村も、物珍しそうに達哉を見てる。
「高校の友達の杏と中村。杏、中村、こっちはあたしの彼氏の達哉」
男の子と関わることをよく思っていない達哉が、あっさり中村と仲良くするなんて、あり得ない。
仲良くしなくてもいいから、敵意を出さないようにしてほしい。